株式会社グローバルオーシャンディベロップメントは、日本郵船グループの一員として、海洋資源開発ならびに海洋地球観測などを使命とする大型船舶に海上職員を派遣し、海洋科学の発展ならびに海洋資源開発に貢献しています。
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私の仕事地球深部探査船「ちきゅう」 一等機関士:岡田 哲

ちきゅう心臓部の発電機関を100%の状態に維持する

職場(本船)の紹介
「ちきゅう」は大きく分けると船体部分と掘削部分の二つに分けられます。 タンカーの様な船に掘削機器を装備した大きな工場を搭載した様な船となっています。(実際に原油タンカーを改造して、ドリルシップとなった船も存在します。)機関部は通常の船舶と同様、船体部分の機器関係を担当しています。機関部として、通常の船舶と大きく異なる部分が3点あります。
1点目は、定点保持の為に船首側に3基、船尾側に3基のアジマススラスターを装備している点です。
アジマススラスターはタグボートにも装備されている、360度どの方向にも推力を発生させる事の出来る推進器で、「ちきゅう」はタグボートを船首に3隻、船尾に3隻抱えている様な船舶と言えます。 2点目は、推進器であるアジマススラスターが電気駆動である為、プロペラを駆動する主機が無く、発電機関のみと言う点です。この為、機関制御室(ちきゅうではエンジン・モニタリング・ルームと言います。)には主機操縦ハンドル等は無く、大きなパソコンの様なコンソールが並んでいるだけとなっています。3点目は、機関室が2つある点です。片方の機関室に定格出力5000kwの発電機が3台、2500kWが1台装備さています。そして、夫々の機関室に独立した冷却システム等の補機類が装備され、万が一片方の機関室が使用出来なくなった際でも、最低限のプラントの維持・掘削操業の維持が可能となっています。

現在の業務
現在、「ちきゅう」機関部の一等機関士として乗船しています。機関長以下13名で、機関室の機器の運転・整備を行なっています。担当機器は発電機原動機を担当しています。その他には油関係(燃料油、潤滑油、ビルジ等)の管理を担当しています。
 掘削操業中は、発電機関8台中、4台が常に稼働しており、停止している発電機関も常にすぐさま起動できる状態にしておかなければなりません。
この為、常に発電機関の状態を把握し、不具合は小さなうちに対処する事が求められます。 また、掘削操業中には大きな整備作業が出来ないため、停泊期間で様々な機器の整備を行なわなければならず、事前に計画をしっかりとたてておく必要があります。
  
 
仕事する上で大切にしていること
 ちきゅう機関部では幸いに、掘削操業中に操業停止に追い込まれる程の事故・故障が起きた事はありません。これは、就航当初から諸先輩方の丁寧な見回りと整備の賜物であると思っています。私達後輩はそれらを受け継ぎ、維持・進化させていく事が大切だと考えています。 機関部の機器は常に100%でなければ、船の定点保持や掘削操業は行なう事が出来ません。家で言うなれば「コンセントに挿せば、必ず電気が点く」という当たり前の事ですが、それを維持し続けなければなりません。
 その為、例えば人の場合、怪我は小さな時に手当てすれば大事に至る事はありません。しかし、放っておくと傷は大きくなり、簡単には治らず大事に至ってしまう事があります。
 機械も同様で、大きな故障となる前の小さな故障・不具合の段階で修理や整備を行なう、又は故障が発生する前に定期的に整備を行なう事が大切となってきます。この事を実現する為には、日々の見回りによる各機器の状態把握と、計画的な整備がとても大切だと考えています。



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