
私の仕事地球深部探査船「ちきゅう」航海士兼DPO:山口 康太
「ちきゅう」は掘削地点に定点保持するDPS:Dynamic Positioning System(自動位置保持装置)、360度旋回可能な6基のアジマススラスター、大水深の海底下を深部まで掘り進むことが可能なライザー掘削技術を備えた海洋研究開発機構の誇る地球深部探査船です。全長210m、幅38mにも及ぶ巨大な船体、中央にそびえ立つ天を摩する掘削櫓は見る者を圧倒します。「ちきゅう」が掲げる壮大なミッションは巨大地震発生メカニズムの解明、地下生命圏解明、海底資源探査、そして、全人未踏であるマントルへの到達等様々にあり、海底を掘り進んで地球の未知に挑戦しています。
地球深部探査船「ちきゅう」に航海士兼DPO:Dynamic Positioning Operatorとして乗船し、DPSの運用及び関連機器の保守管理、航海当直、航海計器の保守管理を行っています。掘削作業は掘る地点を定めたら数千メートルのドリルパイプを海底下に繋いだ状態での長期間の作業となります。
商船の場合は船を走らせ、荷物を運ぶことが仕事ですが、本船の場合はいかに船を安定させて定点保持するかが重要になります。掘削作業中はドリルパイプが海底に繋がっているため、自由に動くことができません。オペレーションによっては黒潮ど真ん中の強潮流、寒冷前線、台風などの自然現象、機器のトラブルに遭遇することもあり、一歩操作や判断を間違えると船が流されて大事故につながる可能性もあります。そのような極めて厳しい状況を各部署と協力して無事に乗り越えた時の達成感は計り知れないものがあります。また無事にオペレーションを終えて下船した時の解放感と安堵感は何回味わっても飽きることはありません。
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