
世界各国の人々との運命共同体で挑む未知への挑戦
■ 職場(本船)の紹介

「ちきゅう」は海の底を深く掘るために作られた地球深部探査船で、海面上からの高さが約120mもある巨大なやぐらがシンボルの美しく、そして強い船です。ちきゅうには世界各国から乗組員や研究者が乗船して来ます。本船専属の乗組員だけでも7カ国から集まっており、科学掘削中は各国からの研究者もそれに加わり、世界十数カ国の人々が運命共同体となります。その名の通り、まさに小さな地球と言えます。船の最大搭乗人員は200名で、普通の船に比べるとかなりの大所帯です。船内の公用語は英語なので、乗船すれば気分はもう外国です。
「ちきゅう」のオペレーションは、今まで誰も成し得ていない事への挑戦の連続です。世界各国の人達が団結し、互いに協力し合って、同じ目標に向かって挑戦を続ける毎日は非常に刺激的で、達成感があります。
■現在の業務

私は、「ちきゅう」がまだ建造中の2005年1月にDP Operator(普通の船で言う航海士)として着任しました。就航後は、DP Operatorとして船の定点位置保持の技術を習得し、その後Chief OfficerとしてSupply Boatとの洋上荷役や掘削補助作業に従事し、2014年1月に「ちきゅう」船長となりました。
「ちきゅう」は運航部門と掘削部門に分かれており、運航部門の責任者が船長で掘削部門の責任者がOIM(Offshore Installation Manager)です。所謂2トップ体制を取っています。

「ちきゅう」は船ですので、船全体の最高責任者は勿論船長となりますが、通常はOIMと綿密に連携を取り、相談しながら船の安全運航、安全操業に取り組んでいます。
掘削中は同じ場所から長期間動く事が出来無いので乗員の交代はヘリコプターで行います。下船時にヘリから本船を見下ろす瞬間が開放感に浸れるので一番好きです。
■仕事する上で大切にしていること
「ちきゅう」では様々な職種の人が働いています。それらが効果的に噛み合って初めて、作業が順調にそして安全に進みます。その為、当然の事ですが日頃からのコミュニケーションを一番大切にしています。話し易い雰囲気を自ら作り、維持する事も重要だと考えています。自分が誤った判断をした場合に、船長だからと遠慮され、それを指摘してもらえないのが一番危険なことだと思っています。又、何か不具合があっても報告がないのも最悪です。その為、毎日船内各所を回り、会った人には誰にでも必ず挨拶をし、なるべく声を掛ける事を強く意識しています。誰にでも気軽に何でも話してもらえるように、いつでも門戸を開いている姿勢でいたいと思っています。