「みらい」には通常は甲板部の主任業務を遂行し、調査観測時には観測支援業務を統括する観測士官(一等航海士)が乗船しております。「みらい」クルーズMR01-K04(平成13年7月24日〜9月15日、北太平洋高緯度海域)では、20日間に及ぶ24時間連続観測と大深度でのブイ係留系設置という「みらい」で初めての試みにチャレンジされた堂脇幸男一等航海士にお話しを伺いました。
GODI船舶部運航チーム:
堂脇幸男一等航海士
昭和60年に日本郵船鰍ノ入社、
平成7年一等航海士昇進、
平成10年から「みらい」に乗船し、
平成12年より一等航海士の職務を執っています。
「みらい」は調査観測船ですから普通の船とは違うと思います。職務の違いや特殊性について話していただけますか?
観測士官は通常船橋当直には入りませんが、一等航海士として甲板部の主任をします。観測時には船長の指揮のもとで現場の総指揮をします。その職務には全体のスケジュールの調整や事前準備作業、打ち合わせなどの窓口業務、甲板作業の指揮や安全面の指導、観測に使う資機材の艤装とか航海中の保管や管理があります。
研究者には始めて乗船される方もいらっしゃいますので、保安衛生や救命消火のブリーフィングを行います。
それから甲板作業に限らず、研究室での分析などもよい環境で作業や観測ができるように整備したり、機器の保守整備も担当しています。日々の保守整備がスムースな観測や無事故につながりますので、大切な業務だと思っています。
実際の観測作業に先立って、全体会議を開き、スケジュールを確認したり、そのミッションの内容を説明し、研究者の側と本船の側から相互に要望事項を出していただいて、確認します。観測内容によっては、本船で初めて行うような作業などもありますから、担当者ベースでの細かい打ち合わせも実施します。とくに「みらい」は共同利用の調査船ですから、外部の研究者で初めての方には準備段階から立ち会うようにしています。
今回の調査では「みらい」で初めての24時間連続観測が行われました。しかも20日間という長期でしたが、大変だったこととか、今後の課題、それから船員の仕事だけではなく、研究者や観測技術員の仕事とか生活のことで気のついたことがあったら話していただけますか?
「みらい」の定員は80名ですが、60名以上が乗船する場合の乗組員は35名です。今回のクルーズでは24時間連続観測が行われましたので、航海士と機関士をそれぞれ4名から1名増員していただきました。
体制としては船橋と現場に大きく二つに分かれます。船橋の基本体制として、船長と当直航海士、当直操舵手の3名が入ります。しかし、長期の連続観測になりますと、船長が24時間船橋に入ることはできませんので、0〜6時は一等航海士が入って船長の仮眠時間を設けました。ただし私は観測士官でもありますので、観測作業に支障があるような場合には現場の指揮を執り、船長に船橋に入っていただきました。
観測士官は常に現場の指揮を執るのですが、私の休息時間とか船橋当直に入るときには、次席の一等航海士に現場の指揮をお願いしました。一等機関士もエンジンの整備作業とか観測関係のトラブルなどに備えました。
連続観測はもっぱら小型CTD(塩分・水温・深度計)による採水作業です。
作業自体は単純で、繰り返しの連続でしたが、気の抜けない毎日が続きました。
本船の場合は観測作業優先ですけれども、各部とも通常の保守作業やデスクワークをやらなければいけませんので、観測の合い間とか時間外に船体や機器の保守整備や事務処理の作業を行いました。
船内生活では食事が重要です。人によっては本船の食事時間(朝8時、昼12時、夕5時半)が睡眠時間に当ってしまう人がいて、夜食の配慮をしましたが、食事が不規則であったりして、体調の維持管理に気をつけることが大切でした。研究者や観測技術員の方たちも、時には運動室で汗を流すなどして、各自で体調維持に努めていました。当然ですけれども、昼間であっても寝ている人もいれば、夜間ずーっと働いている人もいましたので、お互い居住区画では音を出さないとか、周囲に迷惑をかけないように気を配っていました。
また今回は15名の女性の方が乗船していました。女性専用のお風呂(2名用)が一つしかありませんでしたので、男性が使用しているお風呂を男女共用にしました。女性の方には大変な不自由をお掛けしたと思います。